政策×DESIGN Workshop ポンチ絵2.0 DAY1


内閣人事局にて政策×DESGIN ワークショップ 「ポンチ絵2.0」を開催しました。行政資料でよく使われる図解、つまりポンチ絵の効率的な制作と質の向上を目指し、ポンチ絵のデザインパターンを抽出し、行政機関で共有できるデザインテンプレートを参加型デザインのアプローチで開発します。

第1日目のプログラムは、デザインの気づきと、デザインパターンの発見です。

DAY1-1 Check-in & Prologue

まずはチェックインとして「線と線をつないで今の気持ちを形にする」をやっていただき、白洲次郎が1946年に描いたポンチ絵や、私たちが行政の方々と取り組んできたデザインプロジェクトをご紹介。

DAY1-2 Workshop
ポンチ絵は人にどう記憶されるのか

次ののワークはポンチ絵記憶テスト。1分間ポンチ絵をお見せした後に、記憶だけでそのポンチ絵を描いていきます。「何が人に記憶が残るのか、逆に言えば何が記憶にのこらないのか」それを探っていきます。普段はポンチ絵の書き手側であるみなさんが、読み手側を体験していただきます。

1回目は3つの関係性を描いたシンプルなポンチ絵、2回目はテキストも図も多い複雑なポンチ絵にトライしていただきました。前者の方が書けている方が多く、後者の方は全体の枠線と一番大きく記載された文字以外は書けていない方がほとんどでした。テキストよりも要素間の関係性を図像として覚えているように見えました。

テキストに関してはカタカナ(例えばニート)などは覚えられても、漢字が続くと覚えにくい(例えば情報連携)という傾向も見えてきました。また、不思議なこと政策資料にあったウサギのキャラクターを再現しているのは女性の方が多かったです。

このようなワークを通して、「人が記憶できる容量制限」を意識したデザインを考慮する必要性に気づいていきました。

DAY1-3 Presentaiton
4つのタイプのポンチ絵

ポンチ絵といっても種類は様々ですが、学生たちと集めたポンチ絵を分析してみて4つのタイプがあることが見えてきました。施作に関係する行政機関や企業などの組織の関係性を示した「体制図」、プロジェクトのステップやスケジュールなどを示した「過程図」、取り組み内容間の関係性や、個別の内容の図的に示した「事象図」(名前が変かも..)、そして、施策の概要をテキストでまとめた「概要図」です。行政が発信する政策資料は、詳細まで記された何ページにもわたる政策資料と、それをA4一枚程度にまとめられた概要版がよく作られます。今回はこの「概要版」にフォーカスをあててデザインしていきたいと思います。

さて、この概要図ポンチ絵はどのような表現上の課題があるのでしょうか。ゼミの学生からも課題を出してもらい、学生の植田さんが説明してくれました。例えば頻出する矢印は一体何を意味するのか。余白なくみっちりテキストが入っている中で枠線は意味を成すのか、などたくさんの課題が見えてきました。

ポンチ絵制作における課題とは

ワークショップの終了後におこなったアンケートから見えてきた、ポンチ絵制作に関する課題は以下の3つのポイントでした。
1つ目は制作者である官僚の方々も行政のポンチ絵はわかりにくいと思っており、自身の作るポンチ絵に関しても満足していないと感じているということ。

2つ目は、ポンチ絵制作には時間がかかっており、業務の負担となっているということ。

3つ目は、ポンチ絵制作の課題となっている要因は、1位は意外にもデザインに関する知識の不足であると考えていることでした。たしかに、国家公務員試験ではデザインの課題もありませんし、ポンチ絵制作もOJTですので学びの機会が必要になっているのかもしれません。自由回答に関してもデザインの学びを期待される方が多かったです。

私はこれらの課題を解決するために必要なことは以下の2点であると考えます。

  1. 制作手法の標準化と学びの機会が必要
  2. 効果的に表現する道具や素材が必要

DAY1-4 Workshop2
3つの観点からデザインパターンを見つける

前回のWSの準備とその結果を通して見えてきたポイントは、政策文章にはパターンがあり、そのパターンに対応したデザインのパターンを用意することで、デザインがしやすくなるのではないか、ということでした。特に、単語レベルを視覚化するピクトグラム、要素間の関係性を視覚化するダイアグラム、そして、概要版の項目とレイアウトの雛形をまとめたフレームの三つのレイヤーにデザインパターンを分けることができないかと考えました。

これらの三つのデザインパターンを発見するために、政策文章を図解するワークをおこないました。政策文章をフレーズごとにわけたテキストをハサミで切りはりしながら図解していきます。

1日目はこのワークを通してぼんやりとパターンを検討していただき、1週間後に開催される2回目に提出する宿題として取り組んでいただきました。

参加者アンケートから

ワークショップの内容に対する満足度的なものは、(おそらくリップサービス的なお気持ちをいただいたことと思いますが)数字を見る限り、大きな不満はなかったということで… ホッとしました…!